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消えかかるLGBTの灯

消えかかるLGBTの灯

昨年は過熱しすぎだったのかもしれないが、LGBT当事者に聞いてみても、ストレスに感じることや怒ることが昨年は減ったらしい。減った増えたというのは、あくまで感覚的なものでしかないかもしれないが、昨年のムーヴメントが確実にLGBT当事者たちにとって有益で意義のあることだったことは想像に難くない。

今では笑って話せると、知り合いのLGBT当事者は語ってくれたが、これまでは世の中すべてを恨み、ノストラダムスの予言による地球滅亡を信じ、同じように生きていながらヘテロセクシャルの世界とかけ離れたパラレルワールドに自分はいた、と。それが、2015年を境に、世界中で同性結婚が認められ、セクシャルマイノリティの社会的地位も高くなり、正直驚きと戸惑いとがいっぱいの一年だったと振り返る。

一方、LGBT以外の人たちにとっては、このムーヴメントは、どう受け止められているのだろうか?

2016年も昨年以上にLGBTのニュースや活動は多くあるのだが、それほどメディアの波には乗ってこない。それはなぜか? 端的に言ってしまえば、LGBT以外の人たちは、昨年のムーヴメントによって、具体的で明確な恩恵を、まだ享受されていないからである。メディアの報道によりLGBTムーヴメントは、ある程度の層までは浸透し受け入れられた。そこから、このムーヴメントが一過性のもので終わらず、LGBT以外の多くの人たちにも波紋が広がるように拡大していくには、物事を損得で語るのは危険かもしれないが、何かしらの成功事例が必要である。それは、LGBTフレンドリー企業の売上が伸びることでも良し、LGBTフレンドリーな個人の生活が豊かになることでも良し、LGBT以外の人たちにも明確なメリットや喜びがないと、このムーヴメントの灯は消えかかってしまう。

まだまだ、セクシャルマイノリティにとって、会社や家族や友人に対するカミングアウトは大きな壁であるし、住みやすい世界になるかと言えば時間がかかると思う。

しかし、日本は確実に変わった。

テレビはもちろん、日経ビジネス、週刊ダイヤモンド、東洋経済、GQJAPAN、ニューズウィーク、WWDなど数多くのメディアがLGBTマーケットに興味をしめし動いている。最近では、ライフネット生命が、セクシャルマイノリティの視聴率が高いと言われる「5時に夢中」の中で、同性愛者向けの生命保険のコマーシャルを、出口会長自ら5分もの時間を割いて紹介する熱の入れようだ。このような企業の動きは、益々、拡大していくことに違いない。

このムーヴメントをどのように利益にし、それを理解に変えていくかが、これからのLGBTの課題となるだろう。決して、LGBTを一過性のブームにしないように。

2020.07.13

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いろいろな職種と人種と性別で構成されるglassgempopcornのメンバー。