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アイドルの「バイセクシャル」カミングアウトは時代を変えるか?

アイドルの「バイセクシャル」カミングアウトは時代を変えるか?

先日、アイドルグループ「でんぱ組.inc」の元メンバーである最上もがが、バラエティ番組で「バイセクシャル」であることをカミングアウトした。以前にも自身のブログで「バイです」と公表していたが、テレビで語るのは今回が初めて、とのことだ。

このニュースを読んで、まず思ったのは「なぜ彼女はカミングアウトしたのか?」ということだ。アイドルという立場を考えれば、ミステリアスな部分を残しておいた方が得策だと考えるのが普通ではないだろうか(恋人は基本いない設定と同じように)。だが、わざわざ性的マイノリティであることを全国放送で打ち明けたのは、きっと苦しくなってしまったからではないだろうか。

LGBT当事者にとって、自分を隠すことは苦しい。しかしカミングアウトして、環境が一変してしまうことは、もっと苦しいと考える。だから隠してしまう。

最上もがは、グループも脱退しているし、以前よりもカミングアウトする上でのハードルは現状、下がっていると言える。それを考慮した上で、今後タレント活動をする上で、より自分らしく生きていきたい、という彼女の意思表明が今回のカミングアウトにつながったのではと筆者は思う。

さて、元アイドルのカミングアウトという衝撃的な事実は、日本の状況を少しでも好転させてくれるだろうか?

彼女のファンで、LGBT当事者がいれば、「勇気をもらった」と自分を鼓舞するものもいるだろう。そうでなくても、逆に彼女が性的マイノリティだったと知って、ファンになる人だっているはずだ。

しかし同時に、悲しいかな。ファンを辞めてしまう人もいる。そこには、「普通でなくてはいけない」というエゴが存在しているからだ。知っての通り、「アイドルだから、バイではいけない」なんて法律はない。だから倫理観として、その事実とどう向き合うかが重要にある。

もしかすると、このあとに続く“誰か”が現れれば、風向きも変わるかもしれない。それはつまり、なまこの話と同じだ。初めて食べた人もすごいが、それを見た食べた2人目も同じくらいすごい。なぜなら、2人目がいなくては、広がらないからだ。

今回のカミングアウトで、静かな湖に石が投げられた。その波紋がどこも広がるか、そして続いて石を投げる勇気を持つ者は現れるのか。大いに注目したい。

<参考>
リアルライブ 「最上もが「バイセクシャル」を告白、本気で好きになった芸能人は「セカオワ」Saori?」

2017.10.30

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広告、雑誌、ウェブを中心に記事や動画の構成台本を執筆。ジャンルを問わず幅広く活躍中。