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自宅でHIVの検査ができるって知ってる?

自宅でHIVの検査ができるって知ってる?

チェンマイに「バーンロムサイ」というHIV感染孤児の施設がある。

代表の名取美和さんはマスコミにもよく取り上げられるのでご存知の方も多いだろう。僕も何度か遊びに行き、滞在したことがある。いいゲストハウスがあるんだよね。もちろん、滞在中にタイのHIVに対する偏見、治療薬(国によって薬事法が違うため彼女はタイ政府とも闘った)などの話もうかがった。

HIVの感染経路はコンドームなしの性行為、注射器、そして母子感染。チェンマイの子供たちの場合、母親がHIV患者による母子感染がほとんどである。ただ、現在は治療薬も進化しており、発症を抑え、社会で活躍している子供たち、いや、僕が最初にお目にかかった子供たちは既に大人になって独立している子供たちもいる。

「HIVは早期発見が大事よ。ホントに」
名取さんがガイヤーン(鶏の丸焼き)をつまみながら、つぶやいていたことを憶えている。

我々が住む日本は、現在、HIVに感染していることを知らない患者が多いそうだ。それにも関わらず、保健所で行われているHIV検査受検者の数は横ばいどころか減っているという話も聞く。確かに10年前の平成19年が15万人、平成25年に13万6千人に減っている。

いろいろな理由はあるが保健所に出向くというハードルがあるようだ。検査には二通りあって、その日のうちに結果がわかる「即日検査」というものと結果が一週間程度かかる「スクリーニング検査」というものがある。スクリーニング検査は一週間後に再び保健所を訪れなければいけないので、会社勤めであれば、2日間影響が出るので負担になる。

だったら「即日検査」でいいじゃないか・・・となるが、そうともいかない。偽陽性者が出る場合があるのだ。その確率は約1%と意外に高い、つまり100人に1人はHIVに感染していないのに陽性反応が出てしまうことがある。その点、スクリーニング検査は時間をかける分だけ正確性がある。だったら最初からスクリーニング検査を受ければいいのだが、先ほども書いたように2日も会社を休むことは難しい。

「どちらの検査にせよ保健所に出向くことで顔見知りに合う危険性もあるから嫌なんだよ」
といった声も聞く。それがいらぬ噂を生み、想像すると足が遠くなる。その気持ちもわかる。

しかし、現在は自宅で検査ができるのだ。医療機関の検査委託先である「登録衛生検査所」が性感染症の郵送検査事業を実施している。これなら自宅で医療機関と同じ検出精度の高い検査を受けることができる。

先日、知人のゲイが同性愛者専用のサウナで奥さんがいるバイセクシャルの人と性行為をして、その彼がHIVに感染していたという話を後から聞いて凹んでいる話を聞いたばかりなので紹介させていただいた。是非、気にかかる人は検査を受けてほしい。たとえ、陽性でも発見が早ければ発症を抑える薬で社会生活はできるのだから。ほんとうに。

2017.10.24

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イシコ

イシコ

女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を歴任。その後、ホワイトマンプロジェクトの代表として、国内外問わず50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動を行い話題となる。一都市一週間、様々な場所に住んでみる旅プロジェクト「セカイサンポ」で世界一周した後、岐阜に移住し、現在、ヤギを飼いながら、様々なプロジェクトに従事している。著書に「世界一周ひとりメシ」、「世界一周ひとりメシin JAPAN」(供に幻冬舎文庫)。

セカイサンポ:www.sekaisanpo.jp