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投票所入場券の性別欄を見たことある?愛知県のLGBT団体が怒った理由

投票所入場券の性別欄を見たことある?愛知県のLGBT団体が怒った理由

政治が混乱しているのか、僕の頭が混乱しているのか。僕の人生の中で、これほど、どの政党に入れようか考えたことはなかった。

「あれ?あの人とこの人は一緒にやっていたよね?」
「原発0は一緒だけど、憲法改正に関しては違うのか?」
「結局、選挙の後で一緒になっちゃうんじゃないの?」

頭をかきむしっている。

そんな中、「レインボーなごや」(LGBTの支援団体)が岐阜県の選挙管理委員会に対し、衆院選の投票所入場券の性別欄をなくす要望を出した話を聞いた。なぜ名古屋の支援団体が岐阜に出したのか。

話は昨年7月にさかのぼる。参院選で愛知県蒲郡市の投票所職員が、トランスジェンダーの団体メンバーに対し、戸籍名を読み上げ、それが周囲にも聞こえる声だったことが問題になった。その団体には岐阜県内に暮らすメンバーもいるので、岐阜県の選挙管理委員会にも配慮を求め、要望を出したということのようだ。

アライとしてLGBT側の気持ちもわかるが、投票所の職員にも同情してしまう部分もある。選挙管理委員会を行っている公務員の方々と話したこともあるが、本人確認するというのは選挙違反に関わってくるので最重要事項の一つなのだ。よって、投票所にトランスジェンダーの人の戸籍上の名前と性別と目の前に立っている容姿が違えば、疑うことはあり得ることなのだ。もちろんトランスジェンダーという可能性を思い浮かべなかったことに関しては、今後、公務員の中でLGBT教育をしていかなければいけないだろう。それでも、まだ頭がそこまでまわらないという現実もある。よって思わず戸籍を確かめたとも考えられなくはないのだ。

周囲に聞こえるような声で読み上げられたことが不適切な本人確認だと言うLGBT団体の訴えもわからなくはない。しかし、周囲に聞こえるような声というのも線引きが曖昧である。そこにも当事者同士の感覚のずれはあるかもしれない。感情が絡むと特に。思っているより他人は見ていない。思っているより他人は見ている。どちらも正しい。映像や記録が残っているわけでもなく、お互い記憶の中だけの言い分である。公務員の友人からもLGBTの友人からも話を聞いていると、今の政治と同じくらい、それぞれの立場があるんだよなぁと思う。

我が家にも衆院選の投票入場券が届いた。早速、中身を確認してみた。今のところ性別欄は今まで通り記載されている。10年後になるのか、20年後になるのか、僕が生きている間かはわからないが、いずれはなくなるんじゃないのかなぁ。僕はそう思う。

2017.10.22

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イシコ

イシコ

女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を歴任。その後、ホワイトマンプロジェクトの代表として、国内外問わず50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動を行い話題となる。一都市一週間、様々な場所に住んでみる旅プロジェクト「セカイサンポ」で世界一周した後、岐阜に移住し、現在、ヤギを飼いながら、様々なプロジェクトに従事している。著書に「世界一周ひとりメシ」、「世界一周ひとりメシin JAPAN」(供に幻冬舎文庫)。

セカイサンポ:www.sekaisanpo.jp