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熊本で、多くのLGBT当事者に触れたことで訪れた変化。

熊本で、多くのLGBT当事者に触れたことで訪れた変化。

熊本から大阪に戻って来ました。以来、自分がGID(性同一性障害)当事者として、表に出て被災地活動をしていた日々が嘘かのように、全くLGBT関連のことに関わることなく、以前と同じ普通の毎日を送っています。

ただ、なんとなく思うことや考えることが、これまでとは変わってきているなぁと感じることが多くなりました。

熊本の被災地で出会ったLGBT当事者や、一緒に熊本で仕事をさせてもらった東京や鹿児島のLGBT当事者、タイで手術をした際に出会ったGID当事者など、色んな所で色んな人に関わることが出来た僕は、そのおかげで自分のことを「特殊で気味の悪い存在」という思い込みから、ただの「一個性」なんだと考えられるようになりました。

以前は、「なんで自分がこんな思いをしないといけないんだ」とか、「誰も自分のことを理解してくれない」と思い、特に親に対して苛立ちを覚えたりもしていました。

でも今になって分かることは、誰だって家族や友達のことでさえ、100%理解することは出来ないのに、自分のことを理解してくれだなんて、そもそもおかしな話です。

むしろ「理解してほしい」と伝えることは、押しつけになってしまうし、理解なんて出来なくても一人の人間として見てくれて、一緒にいてくれるだけでも十分に感謝出来ることだと思います。

もしかすると、人によってはそれが原因で友達や家族が離れてしまうことがあるかもしれません。そうなってしまった時は本当にショックだし辛いと思います。ですが、それはLGBTとは関係なく、誰にも起こりうる事ですし、それで離れるような関係なら、最早それでいいのではないかなと僕は思います。

あるGIDの方は、「自分が何十年も苦しんで悩んできた問題を、カミングアウトした相手がそんなにすぐに受け入れてくれるとは思っていないから、相手には自分が悩んできた同じ期間をかけて、分かってもらえたらそれでいい」と言っていました。

当たり前ですが、普通の人と同じように、当事者の考え方も人それぞれで、自分のことを悲観的に捉える人もいれば、前向きで常に努力をしている人もいます。

年齢・性別関係なく、これまでたくさんの当事者の人たちに出会い、色んな考え方が聞けたことは僕にとって大きな財産です。きっと誰にも会わずに自分だけの世界で生きていたら、自信を持つことも、前向きになることもなく、いまのように、「生きていることを楽しめている自分」は、いなかっただろうなと心から思います。

もしも、いまLGBTである自分が受け入れられず、他の当事者に関わることに抵抗があったり、相談先やはけ口がない方は、一度、勇気を出して一歩を踏み出し、自分以外の当事者の方に会ってみることをおすすめします。

みんな色んな道を歩んできていますから、少しでも関わってみると、きっと視野が広がるはずですよ。

2017.09.21

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NAO

NAO

大阪在住。幼少から性の不一致で苦しんだ自身の体験を広く伝えたいと、本メディアでライターデビュー。これまでのこと、日々のさまざまなことをコラムとして自分目線で紹介する。