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LGBTというだけで、なんでも通りやすいという考え方は危険!?

LGBTというだけで、なんでも通りやすいという考え方は危険!?

レイシストという言葉をよく耳にするようになった。人種・民族的出身にもとづく差別主義者のことである。彼らは「言論の自由」を理由に差別を正当化する。先の東京都知事選でも、それらの言葉がツィッターに飛び交い、佳境を迎えていくアメリカ大統領選挙においても飛び交うことだろう。

彼らが熱狂的な支持を得るのは、時代の閉塞感から生まれた誰かに責任を押し付けたいという考えのように僕には思えてならない。今まで言ってはいけないと教わってきたものに対し、「攻撃してもいいんだ」と勘違いしてしまう。

こういった考え方に対し、「差別だ!」と逆に攻撃する人たちもいる。それに便乗して、知りもしないで反応し、呷る人たちも現れるから厄介だ。これはLGBTに関しても言えることだと思う、

たとえば埼玉県の事例を取り上げてみよう。さいたま市内で「LGBT成人式@埼玉」が開催された時のことである。主催団体が埼玉県、埼玉県教育委員会、県議会、さいたま市に後援依頼を申請し、却下された。サポート団体は「支援拒否は聞いたことがない」というコメントを出し、マスコミの見出しはこうなった。

「LGBT成人式、埼玉県など後援申請を却下!」

その一行だけを読むと読者の反応としては「埼玉県はひどい」という反応が出やすい。最近は詳細の記事までクリックせず、一行だけしか読まない人も多いからね。今はSNSで好き勝手に攻撃しやすい状況にある。もちろんマスコミも嘘を書いているわけではなく、読者の食いつきがいい、または反応があるような見出しを書いただけのこと。その件に関するSNSのコメントの中に「レイシスト」という言葉を見つけた。使い方を間違えているように思ったが、言いたいことはわかる。ただ、冷静に考えれば、これはおかしい。

県や教育委員会の支援をもらえなかったということは攻撃の対象になりやすいが、LGBTの団体だからということで、何でもかんでも、すぐに後援を出していたら、逆に僕だったら、「えっ?そんなあっさり出しちゃって、いいの?」と思うだろう。

僕も様々な活動をする上で自治体や有名な企業などの後援があると人を集めやすいというメリットから申請することはあるが、そんな簡単なものではない。コツコツと実績を積んで結果を残して得られることでもある。もちろん飲み仲間などのコネから始まることもあるが、それだって、あくまで互いに信頼関係を築いてからでなければ結果はついてこない。

たとえ意義としていいことだとはしても、活動実績がないところには出せないということは当たり前のことなのだ。いいとか悪いとかは別にしてね。そういった全体を見た上で意見を言うならいいが、ニュースの斜め読みで熟考しないで攻撃するのはおかしい。攻撃対象を見つけると一気に叩いてしまえという風潮もあるんでしょうね。

それよりは、この事例に関しては、さいたま市は意義のあることだからといって後援を出したことである。新しいことに前向きに対応する姿勢を称賛するという方向にならないものかな。

2016.08.31

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イシコ

イシコ

女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を歴任。その後、ホワイトマンプロジェクトの代表として、国内外問わず50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動を行い話題となる。一都市一週間、様々な場所に住んでみる旅プロジェクト「セカイサンポ」で世界一周した後、岐阜に移住し、現在、ヤギを飼いながら、様々なプロジェクトに従事している。著書に「世界一周ひとりメシ」、「世界一周ひとりメシin JAPAN」(供に幻冬舎文庫)。

セカイサンポ:www.sekaisanpo.jp