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世界で注目を集めるボーイズラブの市場規模

世界で注目を集めるボーイズラブの市場規模

矢野経済研究所の試算によるとボーイズラブ市場は212億円なのだそうだ。友人から、その話を聞き、「なるほどねぇ」と知ったかぶりしてうなずいてみたものの、ピンとこなかった。200億円市場の大きさがよくわからなかったのである。

ボーイズラブとは同性愛をテーマにした小説や漫画のことを指す和製英語である。「腐女子」(ボーイズラブが好きな女子)や「やおい」(簡単に言えば、エッチだけのシーンばかりが登場する作品。「やまなし」、「おちなし」、「いみなし」の頭文字をとってそう呼ぶ)という言葉も、ボーイズラブから派生したそうだ。

「舟を編む」で知られる三浦しをんの小説「星間商事株式会社社史編纂室」の中で、主人公の幸代は会社以外の時間で同人誌の小説を書き、自分で製本し、コミケで販売している。彼女が書いている作品もボーイズラブである。

ボーイズラブの書籍は、小さな出版社だけではなく、講談社や徳間出版など大手出版社でもレーベル化しており、一般書店でも発売されているが、幸代のようにコミケでしか売らない作品もある。読者からするとコミケでしか手に入らない希少性と作者と読者との間で直接、交流できる親密さが人気を博しているそうだ。

ボーイズラブの漫画は、世界でも他の漫画同様、日本の文化として広がっている。もともと欧米諸国には女性が漫画を読むという習慣や文化はなかった。日本の女性たちが漫画を読んでいる光景が初めて発信された時、世界の人々には珍しく新鮮に映っただろう。しかし、彼女たちは気づくのだ。「そっか?考えてみれば女性だって漫画を読んだっていいんだよなぁ」と。こうして世界の女性たちに漫画を読む文化は広まっていった。その火付け役となったボーイズラブの世界観も同時に広まっていったというわけである。

ボーイズラブで描かれる世界は、「耽美」、「少年愛」がテーマとされることが多く、基本的にビジュアルが美しい。ゲイの方々からすると「まったくわかっていない」とご立腹する方もいる。ゲイにモテる男性のタイプとボーイズラブで描かれるモテる男性像とのギャップが大きいからなのだろう。これは異性愛の男性がかわいいと思う女性像と女性がかわいいと思う女性像の議論に似ているように思う。

そうそう、200億円市場の話だが、昨年の新書全体の売上が274億円。他の業界で言えば、男性のシャンプーやリンス、ペット保険の市場と同じ、芸能界で言えば、CMやテレビ出演も含めた「SMAP市場」と同じらしい。そう考えていくと、やはりボーイズラブの市場は大きい。僕も挑戦してみようかなぁ……と思ったら、書き手も読み手も女性というのがボーイズラブの基本的な定義らしい。

三浦しをん著「星間商事株式会社社史編纂室」(筑摩書房)

2016.06.29

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イシコ

イシコ

女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を歴任。その後、ホワイトマンプロジェクトの代表として、国内外問わず50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動を行い話題となる。一都市一週間、様々な場所に住んでみる旅プロジェクト「セカイサンポ」で世界一周した後、岐阜に移住し、現在、ヤギを飼いながら、様々なプロジェクトに従事している。著書に「世界一周ひとりメシ」、「世界一周ひとりメシin JAPAN」(供に幻冬舎文庫)。

セカイサンポ:www.sekaisanpo.jp