同性愛者特有の遺伝子は存在するのか?
天才を生み出す遺伝子の有無は、長年の謎である。イギリスのある研究所は、IQを基準に様々な頭脳を比べて研究し、天才の遺伝子は見つからなかったと発表した。その後、中国の認知ゲノミクス研究所は、天才の遺伝的特徴の研究に着手したという話も聞く。天才の遺伝子の研究は、今後も世界中で取り組まれていくのだろう。
一方、同性愛者特有の遺伝子は存在するかどうか。竹内久美子著の「同性愛の謎」は、欧米の同性愛者に関する様々な研究や理論を元に様々な観点から検証している。
異性愛者と同性愛者の脳の違い(男性異性愛者と女性同性愛者の脳は右脳が大きく、男性同性愛者と女性異性愛者の脳は左脳が大きい)や双子の研究(一卵性双生児で一人が同性愛の場合、もう一人も同性愛者である可能性は約五割)から、異性愛者と同性愛者のペニスの大きさの違い(同性愛者の方が大きい)や性行為の回数(同性愛者の経験人数の平均値の高さに驚く)の違いまで、様々な側面から研究が行われているようだ。
その中に遺伝子の話も記されている。カナダの研究データではゲイに兄が多いという結果が出た。女性が身籠ること自体、大変なことで、自分と相手の男性の遺伝子を半々に受け継がなくてはならない。いわば半分は自分で半分は他人である。特に男の子を身籠った場合、男性特有の染色体(Y)から作られる物質が体内に侵入し、それを異物とみなし女性の抗体は攻撃する。理論は、もう少し複雑ではあるが、簡単に言えば、脳の男性化を阻止しようとして、ゲイが多くなるのではという説を立てている。
また、イタリアの研究では、ゲイは母方の女性の繁殖力が高い遺伝子を持ち、レズビアンは父方の男性の繁殖力が高い遺伝子を持つという説も生まれているそうだが、これは更に理論が複雑で、僕の頭では、うまく説明できない。
この本を読み終えた後、ネット上にあがっている様々なLGBTの遺伝子に関する研究もいくつか読んでみた。先述した一卵性双生児の研究で一人が同性愛の場合、もう一人も同性愛者である可能性は3割程度だと発表する研究所もあるし、同性愛者の遺伝子は存在せず、胎内環境だと主張する研究者もいる。
スウェーデンで行われた一卵性双生児と二卵性双生児約4,000組を集めた調査データも記載されていた。それによれば遺伝的な要因で同性愛者になる可能性は、男性は3割程度、女性は2割程度らしい。この研究では同性愛になるのは個人的な特異環境が大きいという説をたてている。やはり、どれも結論付けるには早いようで、更に研究は続いていくのだろう
自然の法則から考えると、同性愛者は基本的に子孫を残すことはできない。もし、同性愛者の持つ遺伝子があるとするならば、子孫を残しにくい環境の中で、現代までどうやって残ってきたのか。僕にとっては、それが一番の興味である。
「同性愛の謎 なぜクラスに一人いるのか」 竹内久美子 文春新書(文藝春秋)
イシコ
女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を歴任。その後、ホワイトマンプロジェクトの代表として、国内外問わず50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動を行い話題となる。一都市一週間、様々な場所に住んでみる旅プロジェクト「セカイサンポ」で世界一周した後、岐阜に移住し、現在、ヤギを飼いながら、様々なプロジェクトに従事している。著書に「世界一周ひとりメシ」、「世界一周ひとりメシin JAPAN」(供に幻冬舎文庫)。
セカイサンポ:www.sekaisanpo.jp


